チバイチ : 4日目(野田)
チバイチの最終日は、鹿島から利根川まで出て、利根川サイクリングロードをひたすら遡って、千葉の北端である関宿まで行って、そこから江戸川を南下して東京都に入り、日本橋を経由して帰宅する180kmのコースだ。関宿が思ったよりもかなり遠回りになったおかげで、最終日に最も長く走る羽目になった。流石に家に着いた時は疲労困憊になったし、尻が痛すぎてしばらく自転車に乗りたくないと思ったくらいだ。
利根川
鹿島を出て、北浦と霞ヶ浦をサクッと通り過ぎて、利根川に至った。なんというか、特に見て楽しいことは何一つなかった。
利根川についたら、堤防上のサイクリングロードをひたすら遡上していった。河口からXXkmという表示が500m毎に出て来るので、それを横目にひたすら走ることになる。たまに出て来る牛とか成田に向かって降りていく飛行機とかくらいしか記憶にない。並行する車道を走った方が舗装状況が良いのだが、なんか意地で堤防上を走った。景色の変わり映えしなさが半端なく、心が折れそうになるというか、無の境地に至りそうになる。
柏から先は堤防上の道が工事等で走れなくなるので、降りて横の道を走った。ここがまた変わり映えしない風景で、無の境地にさらに近づいてしまうところだ。
関宿
利根川を120km遡上すると、千葉の最北端、野田市の関宿に到達する。その頃には脚も尻も心もボロボロであった。何のイベントもなく淡々と走るのがここまで辛いとは。まあ、何かをやり遂げたような達成感が無いでもない。
野田市はチーバくんの鼻の部分にあたるのだが、なぜここだけ埼玉と茨城の間を縫うように突出しているかというと、利根川と江戸川の間が千葉県の範囲として定められたからだ。利根川と江戸川の分岐点には関宿藩が置かれていたそうで、その城の復元が博物館になっている。せっかくなので見ていこうとも思ったが、一度休憩すると再び走り出すのが辛いだろうから割愛して走り出した。
江戸川
あとは江戸川に沿って南下すれば東京に帰れる。江戸川サイクリングロードは利根川よりは舗装状況が良いとはいえ、北部は変わり映えしない景色なので、やはり無の境地で進むしかない。尻と脚の疲れは悪化する一方で、むしろ苦行であった。尻が痛すぎて、ほぼ立ち漕ぎで走行するのだが、そうすると今度は脚も上半身も疲れ果てて来た。
サイクリングロードが退屈すぎたので、降りて一般道を走った。車が通るので速度は出せないが、心を持たせるにはこちらの方がよい。あと、信号で止まるのが小休止になるので体にも優しい。都内に入ったらまたサイクリングロードに戻ったが、それは景色に変わり映えが出てきて楽しめるからだ。
小岩の菖蒲園で花が綺麗に咲いていたので、休憩がてら撮ってみた。2枚目は擬似STFだが、よく撮れた。今回の旅は換算30mm画角のLeica Summilux 15mm F1.7だけ持っていったが、これの擬似STFの作例はなかなかだ。微ボケの縁がボケる感じが良い。
日本橋
都内に入ったらもう自分的にはウイニングランの気分で、ゆっくり走りながら帰途についた。京葉道路まで戻って来たらループが閉じたことになり、Qix的には、領土を確保したことになる。やったぜ千葉は俺の国だ。
4日目の総評としては、サイクリングロードはまじで退屈ということだ。退屈と体の苦痛に耐えて作業を続けるトレーニングと自信にはなるだろうけど、好んでやるものじゃないと思った。
チバイチの旅の全体の総評だが、いくつか学びがあった。
- 館山や南房総はリゾート感が有って良いところ
- ブロンプトンでも1日150km程度の走行なら連日やっても旅が続けられるが、尻が弱点
- ビンディングペダルは走行性能は劇的に向上させる一方、特に小径車だと転びやすいので注意が必要
- 快活クラブの12時間パックで十分に休息ができる
- 食料としてプロテインとEAAを持っていくのは有用
- 単焦点レンズ1本だけ持っていくのは気楽で良いが、同じような写真ばかりになりがち
- 海沿いを走るのは楽しいが、川沿いのサイクリングロードは退屈で苦行
- クレのチェーンルブドライが優秀で、600kmの走行で油が持って、鳴くことが無かった
今回の旅では天気が当たりだったので特に困難らしい困難は無かったが、運が良かっただけだ。悪天刻や体調不良や紛失盗難などの問題があった時に乗り越えられるかが真の旅の実力だと思うが、敢えて問題行動を起こすこともない。それらには旅を続けていくうちに遭遇することだろう。学生の頃にはちょくちょく自転車旅をやっていたが、今回でそれを思い出した。大人なので野宿したり図書館で寝たりせずに金で解決する手段を選びがちだが、それは成長というものだろう。今後もこんな感じで旅を続けていきたい。