チバイチ : 3日目(犬吠埼)
千葉一周600kmの旅の3日目は、茂原を出て白子の海岸線に東進してから、九十九里ビーチラインに沿って北上して銚子の犬吠埼に行き、さらに北上して茨城県の鹿島に至る120kmのコースだ。鹿島まで足を伸ばしたのは、例によって快活クラブがあるからだ。
白子・九十九里
白子海岸は九十九里浜のどまんなかにあり、サーフィンやらのマリンスポーツが盛んなところだ。九十九里浜有料道路があるせいで、残念ながら自転車で海山沿いを走ることはできない。観光促進のために作った有料道路なのに浜と市街地を分断した副作用が大きくて発展を阻害しているというのは皮肉な話だ。あと、風がめちゃくちゃ強くて砂もバンバン飛んでくるので、サイクリングには全く向かないし、読書にも向かない。
有料道路よりも内陸側に九十九里ビーチラインという一般道があるので、そちらを走ることになる。海は見えないが、干物屋や定食屋などから魚の香りがしてきて、海っぽい雰囲気は味わえる。ただ、風景は単純なので、飽きが来るというのが本音だ。たまに浜に出られる横道があるので行ってみると、当然浜があるのだが、そこの風景もどこもだいたい同じだ。どこがどこだかわからない。さすが九十九里浜。たまたま見つけた蓮沼でSTF写真を撮ってみたが、これはお気に入りの一枚になった。
有料道路が終わるとサイクリングロードも出て来るのだが、これが例によって舗装状況が悪くて尻に厳しい。さらに、砂溜まりが結構あって、小径車で通過するとタイヤを取られて怖い。それにも耐えて走っていると、九十九里浜の終点である飯岡が見えて来る。
飯岡・銚子
飯岡に入るとダイヤモンドヘッドみたいな崖が見えて来るのだが、そんなのを見せられたら上らずにはいられない。それは刑部岬と呼ばれていて、頂上には展望台がある。ここの景色はかなり良く、今まで走っていたっ九十九里浜が一望できる。写真に撮るだけでも、地平線が丸くなっているのが良くわかる。地球は丸いのだ。つか、地球平面説の信者はこれを見てどう説明するんだろう。どう見ても丸い。というか地球が平面なんだったらハワイから日本の明かりが見えないのはおかしいわけだが、どう頑張れば地球平面説を支持できるんだ。
刑部岬から銚子の犬吠埼までの道がかなり素敵だ。前半は岡の上にある集落を縫って進むのだが、高台に畑やら集落やらがあって走っていて楽しい。風がよく吹くらしく、風力発電機も数多く設置されている。銚子市内に入ると、銚子ドーバーラインという道になって、高台の開けた道を海を見ながら走ることができる。ただ、起伏は結構厳しいのには注意だ。美しさにかまけてペダルを踏みまくっていたら脚を売り切ってしまった。
千葉県最東端である犬吠埼灯台に着いた。景色は良いはずなのだが、太平洋の中には何もないので、どの方向を見ても海で、写真映えしない。灯台自体は美しい佇まいだった。風がやたら強いからかどうか知らないが、ドローン会社の人がドローンのテストをしていた。この風の中で定位置にホバリングできるとは、なかなかすごい技術だ。
銚子市内には他にも銚子ポートタワーやら銚子港やらがあるのだが、特に銚子港が面白かった。構内の道に魚がめっちゃ落ちているのだ。サメが無造作に打ち捨てられていたのは驚いた。
銚子市内は、シャッター商店街が点在していて、寂れた街の典型といった感じだ。駅前ですらシャッターが閉まった空き商店が多かったので、結構やばい気がする。
銚子は日本一の川である利根川の河口でもあるわけで、是非とも見ていたいと思っていたが、特に何があるわけでもなかった。いちおう対岸の茨城側も見てみようということで銚子大橋を渡って茨城側にも行ってみたが、特に何があるわけでもなかった。とりあえず浜辺で読書でもしてみた。
鹿島
南風がいい感じに吹いていたので、乗っかって北側に爆走した。46kmとか出たが、調子こいて漕ぎまくっていたら脚が本格的に死んだ。ところで、おそらく風が一年中強いのだろうからか、風力発電機がかなりたくさん設置されていて、壮観だった。鹿島まで走り抜けると、鹿島工業地帯が見えて来る。社会の授業で習ったものを肉眼で見られるのはそれだけで楽しい。
鹿島といえば、鹿島神宮である。鹿島だけにアントラー達も居た。主審は武甕槌で、有名な奈良の春日大社はこの鹿島神宮の分霊なので、伊勢神宮や出雲大社に次いで由緒ある社らしい。といっても、普通の神社だったけども。
鹿島には北浦もあるので、そこで夕陽を見ようと思って行ってみた。遠くに筑波山も見えて、なかなか良い景色であった。宿の快活クラブ鹿島店は系列の中でも安めの価格設定で、12時間パックが3000円台だった。やっぱ田舎はいいな。
三日目の総評としては、東房総は風の街という印象を持った。多分、マリンスポーツが好きな人には絶好の地域なんじゃないかな。個人的にグッと来る要素は得られなかった。