チバイチ : 1日目(館山)
泊まりがけで自転車旅をしてみようということで、第一弾は千葉一周、通称チバイチをしてきた。主要な岬や突出部を含めると最短で500kmくらいの工程になるらしいが、宿やその他の回り道を含むと600km以上は走ったと思う。
サステナブルな旅
準備については別の記事に書いたが、自転車とバックパック1つで身軽な旅をする。当面の旅のテーマはサステナビリティであり、あたかも日常生活の延長であるかのように、気軽に旅を続けられるようにしたい。旅を完遂させるだけではなく、旅が気軽にできる実績と自信を積み重ねるのが目標である。
旅に必要なのは、体力と装備と金である。自転車旅においては体力は最も重要だ。これに関してはここ数ヶ月の間に自転車に乗りまくってきたので、潜在能力的には期待できる。1日150kmくらいなら問題ないはずだ。しかし、150kmの走行を1回だけやるのと、それを連日続けるとの間にはお大きな隔たりがあるので、実際に体が耐えられるかどうかは、やってみないとわからない。むしろ、それでいけるという実績が欲しい。
装備に関しては上述したように最低限に抑えるが、朝飲むEAAと夜飲むプロテインの粉末とマルチビタミンミネラルの錠剤だけは持っていく。それらを摂取しておけばカロリー以外に必要な栄養素はほぼ十分なので、あとは道中で適宜補給食を入手して食えば良い。飲み物はボトルだけ持って行って公園で水道水を補給して飲む。
よって、金がかかるのは補給食と宿泊費だけだ。宿泊費は相部屋のホステルや漫画喫茶で済ませれば、一泊4000円とかで済ませられる。補給食はスーパーで調達すれば1日1000円くらいで済む。よって、1日5000円くらいで旅ができる。それに加えて各種施設の利用費などは適宜払うことになるが、それらが変動するのは止むなしだ。重要なのは、本来は変動費である食費と宿泊費を固定費のように抑えることができると、予算が組みやすくなるということだ。3泊4日の自転車旅が1.5万円くらいで済むという実績があると、今後の活動の目安となる。
行程
比較的簡単に一周できる県は千葉くらいだろう。大抵の都道府県は県境が山脈だったり、離島が多かったりするので一周するのは無理だ。千葉は東京から近いし、山がほぼない平らな地形なので、何日かかければ誰でも一周できる。最短で530kmくらいだから、キャノンボーラーなら24時間で走破することだろう。余人でも3泊もすれば行けるはずだ。
初日は世田谷から館山まで160kmほどを走った。初日が最も元気があるので、そこで一気に進んでしまいたい。館山まで来てしまえば、もう完全に旅気分になって、挫折するという選択肢がなくなる。世田谷、日本橋、千葉、木更津、金谷、館山という行程だ。
日本橋
世田谷区内の自宅を出て、原宿や東京駅を通過して日本橋に向かった。千葉を一周するのになぜ日本橋が起点なのかはよくわからないが、道路の起点といえば日本橋みたいなところがあるので、とりあえず経由してみた。
千葉
それから、京葉道路と湾岸道路を経由して、千葉に向かった。いつもながら、車とコンクリートばっかりで、ろくな風景が見えなくてあんまり楽しくない道だ。ビンディングペダルで来たのでひたすら高速に走り抜けられるのが救いだ。
今後の一連の旅で日本全国の県庁所在地を制覇する予定なのだが。スタンプラリー的に主要駅か県庁の写真を撮っておくことにする。今回は駅も県庁も押さえておこう。
木更津
これまたいつも通り、東京外環道路とも呼ばれる国道16号をひたすら走って南下し、木更津方面へ。京葉工業地帯の工場群を眺めつつ、やはりひたすら高速走行して進行した。木更津駅はまじで何もない。
金谷港
木更津を抜けると、やっと冒険らしくなってきた。海や山林が見え始め、ちょっとした登り下りも出てくる。私は別に坂が好きってわけでもないのだが、千葉の湾岸地区のようにあまりに平坦が続くと流石に飽きてくるので、ちょっとは登り下りがあった方が楽しい。3枚目の道の駅は裏に磯場があって、娘とそこで磯遊びしたことを思い出した。カニとかハゼとか結構摂れる。
そして、金谷港である。フェリーで対岸の久里浜まで行ける。肉眼で見るとすぐ近くに対岸があるように感じるが、フェリーでも45分くらいかかる。金谷までは以前やった東京湾一周(ワンイチ)でも通った道であり、あるいみ既知の領域だ。ここをすぎると、未知の領域であり、冒険の始まりである。コンフォートゾーンにいる間は冒険ではなく、それを抜けたところに冒険や旅があるのだ。
道が少しずつ険しくなってきて、もう東京圏って簡易じゃなくなってきて好ましい。金谷の南には、千葉の観光スポットでは必ずトップ10入りしている鋸山がある。ロープウェーで登れるらしいが、時間と金が勿体無いのでパス。3枚目
館山
ビンディングペダルのおかげか思ったよりもかなり早くついてしまったので、館山周辺の漁港を散策した。私はひなびた漁港が好きなのだ。
館山の市街地に入ると、なんか南国情緒が感じられて、微妙にハワイっぽいというか八丈島っぽい感じになってくる。個人的にはかなり好きな雰囲気だ。
館山港は釣りの漁場としてはかなり良いらしく、多数の釣り人で賑わっていた。2kg超えてそうなめちゃくちゃでかいアオリイカが釣れていて驚いた。それにしても対岸の剱崎が近く見える。こないだ行っただけに、なんか嬉しい気分になる。
館山港の奥には海上自衛隊の航空基地があり、その奥には奥の島という陸繋島がある。何の穴場なのかは知らんが、数組の若者が訪れていた。ちなみにこの例は擬似STFだ。
港からも見えていた館山城に寄ってみた。館山市内が一望できて気持ちの良いところだ。里見氏の居城だったらしいが、信長の野望ですぐ滅亡するってことしか知識がないのであまり感動はない。
滝沢馬琴の南総里見八犬伝は日本史の授業で出てくるので知っていたが、そのモデルとなった里見八遺臣の墓もあった。とはいえ何らかの戦で奮闘して死んだわけではなく、里見氏が家康に改易された後に主君とともに殉死した名も無き忠臣達だったそうな。南総里見八犬伝は江戸の大ベストセラーだったらしいので、いつか読んでみたい気もする。現代語訳を読んでもしょうがないので、どうせなら英訳を読みたいな。
館山駅は、木更津と同じくらいしょぼかった。東所沢未満、下山口以上ってところか。でも、業務スーパーあるから大丈夫。Amazonと格安スーパーだけあれば生活には困らない。仕事があるかどうかは別の話だが。
この日の宿は、ツネホステル館山という施設だ。寝室が相部屋であるドミトリー方式の宿だ。平日なら3900円円、休日でも4500円で泊まれる。ベッドで寝られて、シャワーも使えて、共用キッチンとリビング付き、コーヒー等も飲める。設備は清潔で整っていて、スタッフの人も親切だった。自転車はロビーに止めさせてもらった。めっちゃ良いぞここ。素泊まりなので、食事は業務スーパーで買ってきてリビングで食べた。
サステナブルな旅の開始としては上々の滑り出しだった。ブロンプトンでも1日160kmは普通に走れるし、観光する余裕すらあることが確認できた。館山はとても良い街だったので、住みたい街トップ20くらいには入れてもいいかも。